求めるものは、抱きしめることすら躊躇してしまうほど柔らかで小さな身体。

男の欲望とはなんと身勝手なものなのか、と思うも止められない。




腕の中の震える存在が愛しくてたまらないのだ。









雨の檻














二人いつものように週一回のデートをしていた時に突然雨に降られた。

そういえば今日は雨が降ると月光が言っていたような気がする。

こんな良い天気なのに雨など降るのだろうかと友人の言葉を信じなかったのがいけなかったのか。

スコールのような激しい突然の雨に、慌てて自分のジャケットを彼女に被せて公園の屋根のある場所へ走った。





「す、すごい雨だね・・」

、大丈夫か?」

「うん、Jが庇ってくれたから。Jこそ濡れたよね?大丈夫?」





屋根付きのベンチの下で互いに周囲を見回す。

バケツをひっくり返したような激しい雨で1メートル先も見えない。

彼女を見れば腕を組んで寒そうに震えている。反射的に彼女の腰に手を回した。





「J!?」

「この格好じゃ二人とも風邪をひく」

「だ、だからって・・・!!」





顔を真っ赤にして抵抗するの身体を抱え込んだままベンチに腰掛ける。

自分の膝の上に彼女を横抱きして抱きしめて、ぺロリとの下唇を舐めた。



「J!!」

「今日はやけに恥ずかしがるな?」

「だって外じゃない!!」

「ふ、こういうのを天然の密室というんだろうな」






誰一人としていない公園、土砂降りの雨で一寸先も見えない。

まるで神が与えてくれたかのような絶好のシチュエーション。

ニヤリと笑って見せると、パクパクと口を開けて絶句する





「可愛いな、お前は」

「な、なに言って!!」

「今日はもう少し、意地悪してもいいか?」






そう言って、彼女の頭を抑えて口付ける。

何かを言おうと開いた口に己の舌をねじ込んだ。

途端、びくりと震えたの身体。

今までは触れる程度のキスしかしたことがないのだから当然だろう。

意地悪く、思い切り奥まで舌を入れての舌を己の舌で撫でる。

そのまま絡ませれば、唾液を飲み込めなくなったのか、が苦しそうに目から涙を零した。





「・・・ふぇ・・・じぇ・・」







名を呼べば再び震える身体。

寒さではなく恐怖からだろうと分かっていても止められるものではない。

理性はある。けれどもう、その理性を保つことが出来そうにないのだ。






が欲しい」




震える身体を抱きしめて、




「俺の全てをくれてやる。だから、」




彼女の唇を堪能しながら、





「くれないか、お前の全てを――――」







の首筋に吸血鬼のように首に噛み付く。





全ては愛しさ故に、







「My only princess」






彼女の頬を濡らすものは、涙か、雨か、

その姿にすら欲情して。










「我が唯一の姫君」