もしも過去に行けるとしたら、どんなことがしたい?





「現役時代の親父と闘いたい!!!」

「現役時代のクソ親父をぶっ殺したい!!!」

「・・・・・・・・・現役時代のあの男と・・・・」






もういいです・・・・・・・・
















真夜中のミラクル★レッツ大晦日











こんにちは、初めまして、私大豪院と申します。

父親は防衛庁長官秘書で元男塾死天王の将、影慶。

幼少の頃、親同士で勝手に決めた婚約のせいでこの年で義理の父親持ち。

誰もが驚く防衛庁長官、大豪院邪鬼。

そして許婚の煌鬼。

父が生まれた場所も名前も不詳という経歴の為、まだ籍も入れてないのに大豪院の性を名乗っています。

まぁ、ほとんどが邪鬼義父様の我侭なんですが。








さて年ももうすぐ暮れ、新年を迎えるという大晦日の日。

私と剣獅子丸、赤石十蔵、大豪院煌鬼は王大人に呼び出されました。

そしていきなりこう言われたんです。







「超秘伝・隊牟巣離津譜の術が完成した!!貴様ら代表してちょっと過去へ行って参れぃ!!!!」







「「「「はっ????」」」」






「冗談キツイんですが、この大晦日に・・・・」

「おいおい、許してやれよ、もう年寄りなんだからさ〜〜〜〜」

「と言いながら暁丸を抜くな、剣」

「止めるな、十蔵!!!大晦日にを誘って日の出を見ようという俺の完璧な計画を邪魔しやがって!!!」

「剣ぃ!!てめぇ、誰の女を誘うつもりだこらぁ!!」





王大人を無視して、喧嘩を始める獅子丸と煌鬼。

この二人は大体いつもこんな感じで喧嘩しています。




「その喧嘩の原因が自分だってこと分かってんのか、

「え?なんか言った十蔵」







「ええい、貴様ら聞けぃ!!!聞かぬなら勝手に送るぞ、いざ隊牟巣離津譜★」








「「「「ぎゃーーーーーー!!!!」」」」


















そんなこんなで、王大人の部屋にいたはずの私達は何処か別の場所へ飛ばされてしまいました。

床の上だったはずが、いつの間にか土の上。

私はとっさに煌鬼が抱きかかえてくれたおかげで怪我はありませんが、ここは一体どこでしょう?

白い塀に沿って咲いているたくさんの桜の木、目の前には木造の校舎。









「煌鬼、ここ・・・何処?」

「男塾・・・・みてぇだな」

「ああ、そうだな」

「なんでいきなり男塾なんだよ!?しかも昼間?さっきまで夜だったじゃん!!!!」







獅子丸が訳が分からないと頭を抱える。

十蔵と煌鬼も呆然としている。

私は目の前にある風景に見入っていた。

女である私は、男塾がどんなところか知らない。

ここが・・・御父様や邪鬼義父様、死天王のおじさまたちが切磋琢磨した学び舎。










「おい、お前ら!!!!」








突然、獅子丸が思い切り声を上げた。

何事かと確認する前に私の身体は煌鬼に抱きしめられる。

瞬間、ゴチッと何かがぶつかる音がした。









「随分派手な侵入者だな?恐れ入るぜ」

「まだそうと決まった訳じゃないだろ?嬉しそうに槍を出さないでくれ、伊達」

「桃・・・ちっ、たく一号生筆頭様はつくづく甘ぇヤツだぜ」







視界に煌鬼の白い学ランと、その向こうに見慣れたような、二人が立っている。

でも・・・・・その姿・・・・まさか・・・・・









「お、親父ぃ!!!!何、いい年して恥ずかしいカッコしてんだよ!!!」

「は?」

「伊達のおっさんもちと冗談キツくねぇか?」

「ああ?何ふざけたこと抜かしてやがる!!!」








赤い顔して絶叫する獅子丸と、何がなんだかわからないという顔をした剣桃太郎らしき人。

ものすごく怖い顔して槍を構える伊達臣人らしき人と、斬岩剣に手を掛けようとする十蔵。

煌鬼も私を抱いたまま、殺気を放っている。





「ちょっと、待って!!!」





私の声に四人が振り向く。

私は煌鬼にしがみついたまま、口を開いた。







「ここ・・・・・過去の男塾なんじゃないの?」



「「「「「は?」」」」」



「王大人が言ってた術よ!!隊牟巣離津譜!!!」







「・・・・・・・・・隊・・・たい・・・・」

「・・・・・・・・牟・・・む・・・・・・・」

「・・・・巣離・・・すり・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・津譜・・・・・・っぷ・・・」











「「「タイムスリップ!!!???」」」










「ちょちょちょ、ちょっと待てよ!!さっき伊達のおっさんが親父のこと一号生筆頭って!!ってことは目の前の親父はもしかして俺と同い年!?」

「おおおおお、落ち着け剣!!つことはあのクソ親父は二号生筆頭か!?」

「あの男と死天王もいることになるな・・・・・」

「多分。御父様達は確か天動宮ってところにいるんだよね?」







「「「「在り得ない・・・・・」」」」








どうやら本当に過去にきてしまった模様。

四人全員頭を抱えてしまったこの状況に、剣おじさまと伊達のおじさまは呆然としています。









「少しも話が見えないんだが・・・・・」

「お、親父・・・どうしよう、俺達過去にタイムスリップしてきちゃったみたいだ!!」

「親父って俺のことか?それにタイムスリップってそんな・・・」

「桃・・・・てめぇいつの間に」

「そんな訳ないだろ、伊達。悪ノリしないでくれ」

「嘘じゃないんだってーーー!俺剣獅子丸!!正真正銘あんたの息子だよ!!!」

「む、息子!?」

「そう言われりゃ似てるな、そっくりだ。ハチマキもお揃いだしよ」

「親父ーーーぃい!!どーしよー!!」

「と、とりあえず落ち着け。あとその呼び方どうにかしてくれないか」










「桃、伊達、一体何事ですか?」





校庭での騒ぎを聞きつけて、ガヤガヤと人が集まってきました。

その中には見慣れた顔・・・・の若干若い顔がちらほら見えます。

ああ、もしかしてあれは飛燕さん・・・・・あ、月光さんと雷電さん、それに富樫さんや虎丸さんやJさんまで・・・・


「貴様らぁ!一体なんの騒ぎだ!」

「ちっ、クソ親父まで来やがった!!!」



どうやら騒ぎを聞きつけて十蔵の御父様も来たようです。














こうしていても仕方ないので、私達は自分達が未来の人間で、過去に来てしまったことを説明しました。

反応は様々でしたが、とりあえず自己紹介を。






「俺は剣獅子丸!親父はそこの剣桃太郎だ!!」

「赤石十蔵」

「・・・・大豪院煌鬼」

「だ、大豪院と申します・・・・」










自己紹介をしたのはいいですが、ものすごい視線を浴びています。

そりゃまぁ・・・仕方ないんですが・・・・・・







「てめぇが俺の息子だと?悪い冗談だぜ」

「俺だっててめぇが親だなんて認めちゃいねぇ」

「背中の太刀はまさか俺の斬岩剣か?」

「ああ、気にいらねぇがあんたから受け継いだ」




ちょ、ちょっと一触即発っぽい感じ!?

でも十蔵がこの世に同じ物は無いという斬岩剣見せたら納得してくれたみたいです。




「獅子丸っての!桃とそっくりじゃなぁ、富樫」

「お、おう・・・・煌鬼ってのも間違いなく邪鬼と血が繋がってる感じだぜ・・・・・」



富樫さんと虎丸さんは目をくるくるさせて私達を見ています。




「気になるのは・・・・・さん、貴方は邪鬼先輩の娘なのですか?」

「その煌鬼殿とは兄妹でござるか?」


飛燕さん達が遠慮がちに私に聞いてきました。



「いいえ、私の父は死天王の影慶です。姓は訳あって大豪院の姓を名乗らせて頂いてます」

は俺の許婚だ、勝手に近寄るんじゃねぇ」





「「「「「ええ???」」」」」」





私がはっきりと言わなかったのが気に入らなかったのか、煌鬼は私を再び抱きかかえた。

その仕草に再びどよめきが起こる。




「影慶の娘が・・・・・!!!」

「邪鬼の息子と許婚・・・・・!!!!」




一番リアクションが多かったのはやはり虎丸さんと富樫さんで、この仕草は20年後とちっとも変わってないみたいです。





「ちょ、ちょっと、待てよ!!俺はまだそんなこと認めてないからなーーー!!!!」

「うるせぇ!!てめぇもいい加減諦めやがれ、剣ぃ!!」





抗議の声を上げた獅子丸に、煌鬼が私を地面に下ろして再び喧嘩を始める。

十蔵が胃を押さえてる・・・・・獅子丸世代の男塾の常識人って十蔵と日登さんくらいだよね・・・・





「察するに、剣の餓鬼が影慶の娘に横恋慕、か?」

「あぁ、まぁな・・・・・・」

「くくっ、面白ぇことになってんじゃねぇか、なぁ桃よ」

「なんだか複雑な気分なんだが・・・・」





あ、伊達さんが十蔵の肩に手を置いて何か喋ってる。

聞こえない・・・・・・








殿」

「あ、なんでしょう、月光さん」

「俺のことも知っているのか?」

「はい。父から聞いています」

「そうか。とりあえずこれからどうするんだ?」

「ええと、私としては御父様達とお会いして、相談出来ないかと・・・・」








やっぱりここまできたんだから御父様達に会いたい。

それに過去へ帰る方法も見つけてくれそうな気がする。








「邪鬼先輩達のところか・・・よし、俺が取り次ごう」






横で話を聞いていたのか、剣さんが連れて行ってくれることになりました。

赤石さんはやっぱり十蔵のことが気になるのかついて来てくれるようで、それとは反対に面白そうだと思ったのか何故か伊達さんまで一緒に来ることに。









「うぉし!じゃあ邪鬼さんのところへ行くか!その前にJさん!!!」

「HA?なんだ?」

「サイン頂戴!!!」

「WHAT!?」




今まで静かに周囲の話を聞いていたJさんに突然獅子丸が迫る。

サインくれ、と本人にとっては訳の分からないことを言われて戸惑っているみたいです。








「あ、でも私も欲しいかも・・・・・」

「もらっとけ!もらっとけ!!あ、十蔵も欲しい!?」

「ああ・・・・まぁ貰っといて損はないな」

「煌鬼は〜〜〜?」

「いるか!!!」






獅子丸にせがまれるまま、Jさんはサインを書いてくれました。

ここだけの話、未来ではJさんは元全米チャンプでとっても有名なんです。






「おーい、そろそろ行くぞー?」

「はーい!Jさんありがとうございました」






剣さんの呼びかけに答えながら、Jさんにお辞儀をすると何故か周りでどよめきが起こりました。





(こいつまた無意識に笑顔振りまきやがって・・・・・!!)






煌鬼が何故か横で拳を握り締めています。

まぁ、そんなことは気にせずに。













さぁ、御父様達に会いに行きましょう!!!


















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設定は影慶さん家の家庭の事情のヒロインが18歳になった頃です。
獅子丸16歳十蔵18歳煌鬼22歳くらい(公式ではありません)
Jはきっと米軍指揮官になる前一通りボクシング界を制覇しているという想像から、
子世代にはかなり人気があるのではないかと思ってます。男塾でも人気ありそう。
続きは1月1日夜にUP予定です。
それでは皆様良いお年を。