「――――さて、どうして欲しい?」







顎に手を添えられ、彼の吐息が掛かる。






これは夢の続き?










夢でも囚われて・裏












唇同士が触れる。本当に少しだけ、触れた所で彼が口を開く。





「僕は榎木津のような力は持っていないからね。言わなきゃわからないよ」





口端を吊り上げ笑う。

彼が機嫌が良い時は大抵意地悪だ――――特に私の前では。







「どんな夢を見たんだい?」






動こうとはしてくれない。

私の言葉を待ってる。息の掛かるその位置で。







「秋彦さんが、」

「僕がなんだね?」






頬が熱くなるのが分かる。

彼は引き下がりはしないだろう、それは良く知っている。

けれどなんて伝えたら良いか分からなくて――――

顎に添えられた手のせいで下を向く事も出来ず、視線がぶつかる。







君」






意地悪くなまえを呼んで、鼻先に口付けられた。

嗤ってる。








「秋彦さんに・・・・愛される・・・夢を・・・」

「ほう」







その言葉を聞いて面白そうに目を細めた。

やっと手が離れたと思ったら今度はきつく抱きしめられる。

左耳に息と共に低い声が聞こえた。








「夢の中の僕はどんな風に君を愛していた?」

「ど、んなって・・・・」






そんな事言える筈がない。

一言一句説明しろなんてとても出来る筈がない。

夢の中の温もりを思い出して、身体が熱くなる。

もぞり、と右足を動かすと、その右足を抱えられバランスを崩して畳の上に倒れた。






「あ、秋彦さん!!」

「言わないなら色々と試してみようじゃないか。そうすれば一つくらい当たるだろう?」

「い、色々って!何を・・・・」

「それをこれから実演するんじゃないか」






あっという間に両手を掴まれて、組み敷かれる。

彼の重みと熱さが圧し掛かってきて、身をよじってもどうにもならない。

接吻と、太腿を撫でる感触に頭の芯がぼぅっとする。







「・・・・・・・っ・・秋・・彦さ・・・!!」






太腿の付け根を強く吸われ、反射的に身を起こした。

けれど彼の腕がすぐに私を押し返してしまう。

その腕がそのままブラウスの中に入って、柔らかな部分を掴んだ。








「・・・・ぁぁ・・・・ん!」






胸元の中心を強く吸われ、痕が残る。

そこはつい先日付けられた痕がまだほんのりと残っていた。

その場所を指でなぞり、楽しそうに呟く。







「これだけ愛しているのにまだ足りないのかい?」

「違ッ・・・!」

「しかしフロイトの心理分析では夢は願望の表れなんだろう?
ならば君の見た夢は欲求不満の証拠じゃないか」

「ッ・・・・!」

「違うのかい?」







答えられずにいると、どんどんと紅い痕が増えていく。

胸から腹へ、その下へと降りていく紅い華の痕はやがて蕾へと辿り着いた。









「さて、もう一度聞こう」







下肢の方でくちゅり、と音がする。

二本の指が蕾の中へと進入した。

水音を響かせるようにそれは無遠慮に動き回る。








「どうして欲しいんだい?」








貴方が触れた唇に、胸に、蕾に、熱が集まる。


足りない。足りない。足りない。もっと欲しい。貴方が。








貴方が足りない。










「秋・・彦・・さんが・・・欲しいです・・・・」







枯れた声をなんとか絞り出す。

恥ずかしくて両腕で顔を覆うと、強引にそれを剥がされた。

掴まれた腕が痛い。

彼らしくない強引な接吻。

息継ぎをまるで考慮しないその口付けに互いの唾液が混ざり合う。








「・ひゃぁあ!!」







いつの間にか腰を持ち上げられ、強引に秋彦が中に挿入った。

膨張したものが花弁を引き裂くように上下に動く。






「・・はぁ・・・あき・・・」

「・・・・・君が悪いんだよ。可愛い事を言うから」







互いの身体が擦れ合う音がする。

古い家にそれは木霊のように反響して。

首にしがみ付いて口付けを求めると応えるように舌が絡み合った。

生理的な涙が零れる。






「今日だけは――――フロイトの信者になろうじゃないか」







秋彦はを見ながら満足そうに嗤った。

眉間に皺は見えない。

やがて激しい動きと共にドクン、と熱いモノが放たれる。

びくびくと痙攣するに合わせて、それは膣内に注がれた。








「まだまだ時間はある。ゆっくりと君の夢を分析しよう―――――」








嗤っているのはフロイトか。

それとも目の前のこの男なのか――――









やがてそれすらもわからなくなる。















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あまり具体的な描写は書けないし、するつもりもありません。
しかしまぁ・・バレンタインに秋彦裏夢!(嗤)
お楽しみ頂けたら嬉しいです。感想待ってますv