それは暖かな日だった。 暖かくて、ぽかぽかして、目を閉じれば寝入ってしまいそうな。 貴方日和真昼の大きな公園には遊具で遊ぶ小さな子供とその母親しかいなかった。 遊具から離れた場所にある芝生の上に、はスカートなのも気にせずに思い切り寝転がる。 休日にも関わらず人の少ない公園は、の大のお気に入りだった。 うららかな春の陽気、と相応しい気候。 静かに頬を撫でる風が心地良い。 うつらうつら、しかけているところへよく知る気配が近づいてくるのに気付いた。 「伊達くん?」 「・・・・・眠りこけてるのかと思ったぜ」 目を開くと、人を喰ったような笑みを浮かべた男が影が一つ。 私の顔がその影で覆われてしまう。 「伊達君も寝る?」 「こんな場所で呑気に寝れるか」 そう言いながらも、上半身を起こした私の横に座り込む。近い距離。 それだけで彼のことが好きな私の心臓がドクン、と跳ね上がる。 「桃じゃねぇんだ・・・・こんな所で寝転がってると攫われちまうぜ?」 「それって、剣君は攫われたことがあるってこと?」 「・・・・・誰があんな可愛げの無ぇ男攫うんだ」 「ぇえ?可愛いと思うけど」 「どこかだ」 何気ない会話がこんなにも嬉しいと私が思っているなんて、きっと貴方は知らない。 時々ふっ、と笑ってくれる仕草が見れるのが嬉しい。 出会って一年、あっという間に過ぎてしまった月日の中でいつまで経っても縮まらない距離。 「今日は学ランじゃないんだね」 「俺達だって休みぐらいある」 「でも、珍しいよね」 「たまにはな」 ゆらゆらと、吹く風のようにゆっくりと流れる時間。 今日は邪魔者(富樫君とか虎丸くんとか)はいないのかな?なんて周りを見回す。 お昼が近いからか、さっきまで聞こえていた子供達の声も今は聞こえなくなっていた。 挙動不審だったのか、そんな私に気付いて伊達君から低い声が聞こえる。 「誰か探してんのか」 「ううん・・・でも、珍しいね。いつもは必ず誰か来るのに」 そう、私が伊達君と二人でいるチャンス!って時には必ず誰かしらが邪魔をしてくれる。 それは私から見ればの話できっと皆に悪気はないと分かっているけれど。 「誰か来た方が良かったか」 「えと・・・・・」 皆のことは大好きだけど、やっぱり伊達君と二人きりの方が嬉しい。 こんな風に長い時間二人で居られることなんてめったにないから。 けどそんな気持ち、言えるはずがなくて言葉を濁してしまう。 「・・・・?伊達、くん?」 突然、彼の雰囲気が変わったのに気付いた。 機嫌が悪いかなんて聞かなくても分かる不機嫌な表情。 「どうか、した?」 「・・・・・・・・」 おそるおそる尋ねてみるけれど、顔を背けたまま答えてはくれない。 こういう時、宥めてくれたりするのは飛燕さんで、でも今日は私しかいなくて。 この場合きっと不機嫌の理由は私なんだろう。 「伊達くん・・・・えと、ごめんね?」 「なんでてめぇが謝る」 「だって、私が、伊達君を怒らせるようなこと・・・・」 「してねぇよ」 強い口調で伊達君が私の言葉を遮る。 私はただどうしたらいいか分からずに下を向いた。 「、桃が来たぜ」 「え?」 伊達君が、急に公園の入り口を指差した。 反射的に私は顔を上げてそっちを見る。 と、私の目の前に黒い影が出来る。 その影があっという間に私の唇に、触れた。 「・・・・・!っ」 それは、さっきまで私の隣にいたはずの、伊達君で。 「残念だったな」 「え?え?」 「今日は誰も来ねぇ。俺が脅しといたからな」 そう言って、また人を喰ったようなあの笑みを浮かべて。 影が走り去っていく。 残ったのは信じられないくらい上がった体温と、今にも壊れてしまいそうなほど激しく動く心臓。 一人、公園に残された私は、 何が起こったのか、まだ理解出来ずに、 自分の唇に触れることさえ出来ないでいた。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 恥ずかしいほどの少女マンガ;;実は今話題の少女マンガ「オ○メン」読みました・・・・ 伊達ファンには申し訳なく;;でも辛い人生を歩んできた彼にはこんなほのぼのな幸せを味わって欲しいのですよ! 映画公開まで残り一ヶ月切りました!映画公開までにお題制覇目指して頑張ります!(気合だけは充分) どっかで映画公開記念祭とかやってくれないでしょうか。 |