別々のイキモノのはずなのに。

深く、深く合わさって、まるで一つになったかのような錯覚を起こす。







初めて自分と、自分以外の誰かを愛しいと思えた夜。















賭け












恐らくは、他人には一度たりとも触れられたことのない箇所に、

我ながら無骨であると自覚のある指を蕾の中に差し入れた。

くちゅり、と、

卑猥な音が鼓膜に響いて、が背に爪を立てる。





「・・っっふっ・・・・」







の目から雫が零れる。

唇を噛み締めて耐える姿に、己の雄が高ぶるのを感じた。







解っては、いるのだ。






こうして男に身体を開き組み敷かれることが、この女にとってどれだけ屈辱であるかを。

殺し合いの最中、女であることが一体どれだけのリスクを伴うかも。

そのリスクに恐怖しながら常に自分自身を奮い立たせてここまでやったきたはずだ。

裏の世界で育ち闘ってきた女にとって、男に組み敷かれるという事は敗北を意味している。






だから、教えなければならない。







確かに邪鬼はに勝った。

けれどこの行為は陵辱でも、強姦でもない。

愛するが故の、性交なのだと。

愛している、惚れている女を抱きたいと思うことこそが、男の本能なのだと。






、目を開けろ」

「・・・・っ」

「俺を見るのだ、よ」






恐々と目を開く、その姿が胸を打つ。

愛しさと共に芽生える雄の衝動を必死で堪えながら、可愛らしい唇にゆっくりと触れる。

軽く触れるだけの唇は心地良く、けれどもそう感じているかは邪鬼には分からなかった。

口付けの最中もは目を開き邪鬼を見つめ、また邪鬼もその視線から逃げることなく受け止めている。






、今ここに誓おう。俺は生涯を賭して貴様を護る。
だから、俺に貴様の身を預けてはくれまいか。」





そう言って、額にゆっくりと口付けを落とした。

邪鬼もまた、男塾という色恋沙汰とは無縁の場所で過ごしてきた。

今、初めて本当に望むものを見つけ、そんな自分に戸惑ってもいた。





「貴様が欲しい、






女が好むような口説き文句など知るはずもない。

ただ、胸を内を吐いたに過ぎなかった。

猛る己のイチモツとは別に、心は驚くほど冷静だった。

は、邪鬼の言葉に驚いたように目を見開き、しばし沈黙した。






「もういい」

「・・・・・?」

「お前にはそんな言葉似合わない」



「嫌ならとっくに、舌を噛むなりしている」







顔を背け、枕に埋めたの頬は今まで見たことのない表情をしていた。

頬が紅に染まり、恥じらいの表情を見せる。唇は微かに震えていた。









もう、抑えることは出来なかった。








!!」








もう一度深く唇を合わせ、同時に蕾を指で掻き回す。

重なり合う唇からは甘い吐息が洩れ、秘所からは蜜が溢れ出ていた。

邪鬼の指を濡らしていくソレに、ますます邪鬼の昂ぶりは高まっていく。





びくり、の背が海老のように反り返る。

弱い箇所を見つけ、指の腹で撫で回すとの爪が深く背に食い込んだ。

だがその痛みすら邪鬼には甘いものに思え、己の腕の中で打ち震えるの耳に噛り付く。







「力を抜いていろ」

「・・・・じゃ、き、・・・」

「愛してる」

「あっっ・・!!」






タイミングを見計らって、邪鬼は蕾の中にイチモツを宛がう。

思ったとおり、中はキツク容易に邪鬼を受け入れようとはしなかった。






「くっ!」

「はっ!やぁ・・・ああ・・」






の目から涙が溢れる。

もはや背に爪を立てることも出来ず、手が白いシーツを握り締めていた。

男である邪鬼には、雄を受け入れる女の痛みがどれほどなのかわからない。

だが身体の中から侵食されるということは、並大抵のことではないだろう。

だからといって、今更後に引くことは出来ない。







「・・ふぅ・・う・・・・」






邪鬼には腰を進める間、女の名を呼ぶことしか出来なかった。

己より遥かに小さな身体に、獣のように覆いかぶさっている。

どれほどの恐怖を与えていることだろう。






「・・・・邪鬼」

?」

「いい・・から、来い・・・」






の手が、邪鬼の首に絡まった。

弱い力で、引き寄せられる。それに邪鬼は従って、そのまま唇を合わせた。

言われるまま、腰を進め、最後の砦を打ち破る。

その瞬間、最も熱い部分から、微かに血の匂いがした。







!」

「じゃ、き!!ぁああ!!」







邪鬼を纏う肉の締め付けが一層強まり、邪鬼はの中に雄を放った。

その瞬間、が意識を手離し、ぐったりとベットにその身を沈める。

雄を引き抜くと、愛液と共に予想通り血が纏わり付いていた。

やはり、初めてだったようだ。愛しさと共に満足感と優越感に満たされる。


この女の全てを、自分だけが知っているのだ。








・・・・」






裸のまま、邪鬼はを抱きしめた。

枝に添い咲いている桜も、散る桜もどちらも美しい。










永遠に枯れることのない華を愛で、

そして共に散ろう。















後書き(以下スクロール)
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えー、そんなわけで三話完結になりました。裏という裏ではないですね、すいません。
邪鬼様は自分の身体がどれだけ凶器になるかを知っているので(ヤラシイ意味ではなく)
抱き潰してしまわないかとヒヤヒヤしているんじゃないかと。優しい方ですから。
短編といいつつ、このヒロイン気に入っているのでまた書きたいなぁと密かに思ってます。
初めてヒロインを持ち帰った(笑)時の死天王の反応とかね!(一応場所は天動宮という設定)
影慶とか密かに一目ぼれしちゃったり、センクウとにこやかにお茶してて邪鬼様がヤキモチやいたり、卍丸がシモネタ言って皆にボコられたり、羅刹がヒロインとどう接したらいいか分からずアワアワしてたりね!
やっぱ基本は死天王好きなんですね、私・・・・・。